整備工具共有でコスト削減+技術伝承の取り組み

2023 / 03 / 06
イノベーション・宇宙

コストを下げつつ整備士同士の交流を増やすことで若手への技術継承を促そうと、羽田空港を拠点とするANAベースメンテナンステクニクスは、工具のツールセットを個人に貸与していたのを取りやめ、整備士全員で共有する取り組みを始めました。

ANAベースメンテナンステクニクス構造整備部のみなさん

ANAベースメンテナンステクニクスは主に羽田空港を拠点にANAグループの航空機の格納庫での整備を行っている会社で、800人あまりの整備士が所属しています。

このうち、129人が所属する構造整備部では去年4月からこれまで工具のツールセットを整備士個人に貸与していたのを取りやめ、全員で共有する取り組みをはじめました。

整備士の工具箱

これまで、整備部門では伝統的に初めに基本的なツールセットが整備士個人に貸与され、それぞれが管理して使いやすいように改良したりこだわりの特殊な工具を付け加えたりして作業を行なっていました。

新たな取り組みでは、これをやめて基本的なツールセットを作業に必要な数だけ準備し、それをみんなで使うことにしました。さらにそれぞれが付け加えていた特殊な工具は共有のものとして誰もが使えるようにし、使い方はベテランから若手に教えられる仕組みとしました。

ベテラン整備士から若手整備士へ技術伝承の様子
熟練整備士の工夫が詰まった工具

これにより、管理費や購入費など年間およそ470万円相当を削減することができ、さらに整備士同士の交流が活発になることで技術継承が進む効果が見込まれます。

この取り組みはANAグループの業務改善を表彰する今年度の「KAIZEN AWARD」Thinker to Doer部門の最優秀賞を受賞しました。

今後もさらに最適な工具の共有のあり方などを検討し、作業の効率化などを進めていくことにしています。

ANAベースメンテナンステクニクス 構造整備部
佐藤 遼さん
「整備士はこだわりの強い職人気質の人が多いので当初は反対されましたが、コロナ禍でコスト削減が必要だったこともあり、理解していただきご協力してもらうことができた。コスト削減もそうですが、思っていた以上にベテランと若手の整備士同士の交流が進んでいるので、これでノウハウが共有できるようになり技術が高まっていけば良いと思います」

ANAベースメンテナンステクニクス 構造整備部 佐藤遼さん