旅客機から温室効果ガス測定で環境対策に貢献へ

2023 / 03 / 06
イノベーション・宇宙

ANAは、旅客機やドローンを使って上空からメタンガスや二酸化炭素などの濃度を測る取り組みを行っていて、森林がどのように温室効果ガスを吸収するのかを解明する研究などにつなげ、環境対策に役立てていくことにしています。

ANAは今年度、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と業務委託契約を結び、実際に運航している旅客機とドローンからメタンガスの濃度を観測することになりました。

メタンガスは二酸化炭素に次いで温暖化に及ぼす影響が大きい温室効果ガスの一種で、放出量を抑えることが温暖化の緩和に有効だとされています。

運航中の旅客機の測定では、窓のそばに特殊なセンサーを備えつけ地表に向かって測定を行い、飛行中の航空機からメタンガスの濃度を観測していきます。

これまでの衛星を使った測定では数キロ範囲だったものが、この観測方法を用いることで、より細かい地点の濃度を観測することができます。

こうした観測を繰り返し行うことで、どういった場所からガスが排出されているかや森林がどれくらいガスを吸収しているのかなどを調べることができます。

ANAはこれまでにも2020年からJAXAと共同でおよそ30回、二酸化炭素などを測定する実証実験を行なっていて、今回もその技術を応用することになっています。

ANAホールディングス グループ経営戦略室事業管理部 宇宙事業チーム
松本 紋子さん
「お客様と貨物を運ぶだけの飛行機だけではなく、データを収集するという新しい航空機の活用ができないかと考えています。森林がどれくらいCO2を吸収するのかというのは実際の観測データではなく机上の計算で求められているので、こうしたデータが環境対策に役立てられればと思います」